16章 7
その夜、シュパンはよく眠れなかった。翌朝、五時から彼はアムステルダム通りをぶらつき、目を皿のようにして居酒屋の店先を一軒一軒覗き込んでいた。鉄道の荷物取扱係がいないかと探していたのだ。ほどなく彼は、そのような男が一人『朝飯の前に一杯引っかけ』ているのを見つけ、たちまち仲良くなった。すぐに心安くなるための方法を彼は心得ていたのだ。しかし、この荷物取扱係は、残念ながら何も知らないと言ったが、彼の同僚の一人のもとへと連れて行ってくれ、その同僚は十六日の夜、老婦人の乗った馬車から荷物を下ろすのを手伝ったという。彼はそのときのことを完璧に覚えており、その老婦人はロンドンに行くとのことであった。しかし、それらの荷物は発送されてはおらず、その老婦人はそれらを保管室に預けていた。その翌々日、怪しげな様子の太った女が預かり...16章7